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BLW① イギリスから来た新しい離乳食メソッド「BLW」


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最近歯科医師の間で話題になり勉強会にでかける先生もいる離乳食法「BLW」。

ドロドロの離乳食ではなく、固形のものを掴み食べから始めさせる離乳法です。

 

家族で食卓を囲み、

大皿から赤ちゃんの目の前に掴み食べできる食材をいくつか取り分けて置き、

赤ちゃんは好きなものを選んで食べます。

 

赤ちゃんは自分で調整しながら食事法を獲得していくというメソッドになりますので、

えづいたり吐き出したりすることもありますが

じきに赤ちゃん自身の力でしっかり食べられるようになります。

 

BLWはイギリスの助産師兼保健師である ジル・ラスプレイが提唱したBaby-led Weaning、赤ちゃんが主導の離乳メソッドの略です。

 

歯科会では「0歳からの矯正」と例える人も。

 

「赤ちゃんが何を与えるか」ではなく、「赤ちゃんが自分で食べるにはどうしたらいいのか」

BLWはここに重点を置いた考えになるので、歯科でBLWに触れる時は食べ物の固さとか調理法ですね。

 

今までもその辺は小学生や保育園の子などにチラッと触れていることではありましたが、これからは歯が生えだした赤ちゃんにも指導していく医院が出てくるかもしれません。

 

食べやすくしたり掴みやすくした食事を用意し、赤ちゃんに自由に食べさせることで

体の機能の向上や幸福感や満足感も期待できます。

 

人は前歯で食べ物を嚙み切ることで

幸せを感じるホルモンが出ています。

 

 

スプーンで受動的に食事を与えるより、

赤ちゃんに選ばせ、自分の力で食べさせる方が食事への積極性や好奇心が上がりやすいのではないでしょうか。

 

BLWのメリット

 

  • 赤ちゃんが楽しめる

掴み食べにより、食べる量と食べる速さを赤ちゃん自身で決められます。

自分の好きなように口の中で混ぜ食いをしたり、 ゆっくり味わったりすることはきっと楽しいはずです。 

 

  • 家族と一緒に食事ができる

家族と食卓を囲み、同じものを食べ、家族の団らんに加わるということは 家族関係、社交能力、言語発達、食生活等の向上が期待できます。

 

 大人が1人で食べるよりも誰かと食べる方が楽しいと感じるように、

赤ちゃんもまた誰かと食卓を囲んだり

食事を分け合ったりすることに幸せや

喜びを感じることができます。

    

  • 食べ物について学べる
  • 食べ物を信じる
  • 安全な食べ方を学習する

            食べ物を口に入れる前に調べたり、口の中で調整して飲み込んだり。

            噛み方が器用になることで消化能力の向上にも役立ちます。

       

             

           赤ちゃんが自分で満腹を感じ、自分で食べるのをやめることで

          将来的な食べ過ぎも防ぐことが期待できます。

 

  • 手と目の協調運動、手指の器用さの向上

 

             やわらかいものを握りつぶさずに掴んだり、滑りやすいものを落とさずに掴んだり。

             大きくなってからも役立つ能力です。

 

  • 自信がつく

             自分で掴み、口に運ぶことによっていろいろな味や舌触りを報酬や成果として受け取ります。

 

  • 準備が簡単

            大人は取り皿に分けたあとで味付けしたり、

             赤ちゃんに取り分けた後に味付けすることによって支度の負担が減ります

 

  • 赤ちゃんの偏食と食事中の争いがない
  • 外食が楽

 

 

 

もちろん、ただ大人と同じものを与えればいいというわけではありません。

 

赤ちゃん自身の体ができあがっていない時期に無理やり食べさせると誤嚥や誤飲も危ないですが、精神的な苦痛にも繋がります。

また、準備する食べ物にも注意や工夫が必要です。

 

次回は赤ちゃん自身の準備と、BLWのやり方について解説していきます。